憧れのマサイ
※今回の記事は見る方によってはグロいと形容されうる写真が途中で出てきます。
動物愛護主義の方はご覧にならないことをお勧めします。
今から約3か月前。
マサイの通過儀礼の儀式『エウノト』について授業で発表する機会があり、調べてもよくわかんねえなーと思い、寮の守衛をやっているマサイのお兄さんを捕まえて根掘り葉掘り聞いたのが事の始まりでした。
ワタシがあまりにも熱心に、やたらしつこく聞くので、
「そんなにマサイの文化に興味を持ってくれてるんなら、次の休みに僕のお家に遊びにおいでよ!」
と彼はとても気軽に言ってくれました。
こ、これは社交辞令なのか?
と疑問に感じつつも、興味津々だったまーヴは厚かましくも
「是非行かせてください!」
とその話に乗っかったのでした。
そんなこんなで日本人の留学生3人と、まーヴで行って参りましたマサイの村2泊3日の旅のお話でございます。
アルーシャからバスで走ること2時間。
バスを降りると、アルプスの少女ハイジで見たような光景が広がっていました。
見渡す限りの草原と大知と空の青。
アルーシャからすぐ近く、と聞いていたのに結構遠いじゃねえか。
やはりタンザニア人は遠近感覚がどうもおかしいわ、と思っていたところに
「ほら、あそこに家が見えるだろう?」
と遠くの方を指さす彼。
一同「はい?」
全く見えません。
どうやらマサイの人達の目がいいというのは本当らしい。
1時間半ほどてくてく歩いてようやく彼のお家に着きました。
出迎えてくれるたくさんの子どもたち。
と共に私たちを歓迎してくれるたっくさんのハエさんたち。
はじめは一生懸命手で追い払っていましたが、そのうち無心になるという技を体得し、悟りを開くという境地に達しました。
今後一生のうち、あんなに一度にたくさんのハエで視界を覆われることはないと思います。
そして気になって仕方がなかったマサイのお家は・・・
↑お友達のシリアとお家
歴史の教科書でしか見たことなかったあのお家。
「こ、今晩ここで寝るのかー・・・!」
覚悟はしていたけれども、やはりマットレス付のベッドなんてありません。
もちろんトイレも電気も水もありません。
マサイのお家は泥と牛糞を混ぜたもので作られています。
夜は死ぬほど寒くなりますが(はっきりとはわかりませんが、おそらく一桁台です)、このお家の中だけは暖かく、昔の人の知恵って素晴らしいなあと感動しました。
あとうまく言えませんが、中にいると何かに守られているような、安心感を覚えました。胎児の気分?
その日の夕食は、今にも降ってこんばかりの星空の下で飲んだチャイだけでした。
マサイの人たちってご飯食べなくてお腹空かないのかなあー・・・。
三食食べることに慣れている私たちには少し(嘘ですよ、本当は大変に)物足りない夕食でした。
その日の夜、毛布が足りず、マサイの布を一枚借りただけの私は寒すぎて何度も夜中に目を覚ますことになりました。
そしてマットレスなしで土の上にシートを敷いて皆できゅうきゅうに詰め寄って寝たのですが、それはもう腰が砕けるほどに痛くなりました。
大阪ー福岡間の夜行バスなんて比べものにならんぜ。
翌日
お友達が私たちのためにヤギを絞めてくれるといいます。
あらまあ大変、それは見学しなくては。
とみんなで楽しみにしていたのに、モーニングチャイの後に彼を探すと見当たらない。
と、遠くの方に彼の巻いていた布が木にひっかけてあるではありませんか。
こ、これは水浴びしているかすでにヤギを絞めているかどちらかだわ
と思い駆け寄っていくと、そこにはすでにあられもない姿になったヤギさんと作業中のシリアと子どもが。
め、めえ~
絞めるところを見たかったのに、お友達、すでにやっちゃってくれてました。
しかしその後の、ヤギをひらいていく作業は実に見事でした。
彼は全く迷う動作を見せず、次から次へとさばいていきます。普段腰につけているナイフ一本で。
愛嬌のある顔でいつも眠そうな話し方をするシリアですが、この時ばかりはかっこよく見えました。
ヤギを絞めると聞いて、大量の血がブシャーーーっと流れ出るところをワタシは想像していたのですが、血って意外と少ないのですね。その少ない血は、後に犬たちのエサになりました。
中からは体重の半分以上を占めるのではないかと思われる内臓がでろーんと登場。
胃袋の中身を掻き出して捨てた以外は、全て何かしらに使われ、無駄がありませんでした。
↑火を起こす子どもと、肉になったヤギ。
肉はじっくり炙って頂きました。
新鮮なヤギ肉はとてもおいしかったです。
その晩、私たちはバケツに入れられたヤギ肉と、その頭と共に眠ることになりました。なんでやー
そしてその翌朝、想像通りその肉が私たちの前にサーブされてきました。
(頭と共に一晩寝かせられたお肉・・・なむなむ)
こうして二日目はヤギを食べる以外何をするわけでもなく、ヤギの放牧を眺めていたらあっという間に終わってしまいました。
三日目
あなたのために、と言ってお別れにビーズのアクセサリーをいただきました。
ありがとう大事にするね。
こうして我々は名残惜しみながら、しかし3日ぶりに浴びれるシャワーに胸を躍らせながら、村を後にしたのでした。
マサイの村を訪れて一番印象的だったのは何と言っても自然の美しさでした。
360度広がる広大な大地の中、カランカランと響くカウベルの音
ヤギの群れを悠然と眺めるマサイの人たち
それらを遠くの方から照らし出す茜色の夕日。
写真をどんなにとってもその素晴らしいパノラマは伝わらないのでここではあえて載せません。(ただ単に私の腕がないだけである)
考えれば当たり前のことだけど、マサイの人たちだって私たちと同じように、冗談を言って大爆笑するし、タンザニア人らしくナンパしてくどいてきたりする。
そんな気の置けない仲間と過ごす普段の彼らに接することができて、ほんの少しだけマサイの人々を身近に感じることができるようになりました。
しかし身近に感じたのはつかの間。
ダルに戻ってきた翌日、39度の高熱、下痢、嘔吐に襲われ、改めてマサイって強いんだなと身を持ってひしひしと感じました。
やっぱり清潔大国日本からやってきたワタシなんかが川の泥水を飲んだり生のヤギ肉を食べてはいけないんです。
次は抗体を作って遊びに行きたいと思います。
おわり。